庭づくりには、「設計」と「設景」とがあります。「設計」の過程では、庭の全体イメージをマスタープランや設計図で表現し、樹木や石などの素材のボリュームや数量を計算します。建築の場合は、設計図を描き終えた段階で約8割が完成したとされますが、庭づくりの場合はせいぜい2割から3割の進捗です。
「設計」がペーパー・デザインであるのに対して、「設景」はグランド・デザインです。命ある素材は一つひとつ形が違いますから、馴染むもの・馴染まないものがあります。設景の現場では、「もうちょっと、こうしよう」という微調整のくり返しです。わずか数センチにこだわりながら、あるべき姿へと「収まり」をつけてゆきます。造園家は、現場でこそ、その手腕が問われるといえるでしょう。