京都は東山山麓の豊かな自然あふれる地に、滋賀県の古い民家の古材で完成させたゲストハウスは、国内外の美術品などを展示し、ギャラリーを訪れる客人をもてなす場としてのしつらえ。
この庭園の計画・施工に際して留意したのは、「庭園的な庭園」にしないことでした。庭園を「創る」のではなく、この土地が具えた自然の環境や風土をとらえたうえで、それをどう展開させるか、いかに構成するかに傾注し、「創らないでつくる庭園」をめざしました。「自然と建物と庭園の一体化」をテーマに、もともとこの地にあったサクラやヒノキの大木を活かしながら、新たに芽生える木々や草花が自生しうる場所としての庭園の位置づけです。
高低差10メートルの石段は、訪れる者たちを日常から非日常へと誘う装置。春の新緑、夏の緑陰、秋の紅葉、冬の枯れた風情が心をとらえます。
一歩一歩、周囲の気配を味わいながら進めるよう、石段にはあえて不揃いな山石を用いました。石の隙間にはベニシダを植え込み、野草が自生しやすいよう、石段の中心は目地を細かく、外側は粗くしました。石段の途中にもうけた手水鉢には近くの川から引いた水を湛え、踊り場では一息ついて四季折々の風景を楽しめるよう、既存のサクラに添えて、ヤマモミジやムラサキシキブ、アセビ、ユキヤナギ、コデマリ、ヤマブキを植栽。
井筒を配したテラスを含む前庭部は、「ハレの場」として構成。既存の自然林と調和させながら、部分的に人工的なデザインを組み込むことで、自然をより強調しました。